ブログ

滋賀県守山市の税理士が教える「インボイス制度」

2022年10月17日 カテゴリー:インボイス制度

令和5年(2023年)10月から始まる「インボイス制度」。名前は聞いたことがあるけれど、よく理解できない。自分の会社にどのような影響があるのかと困っている方も多いことでしょう。今回の記事では、現在の消費税の仕組みとインボイス制度についてわかりやすく説明します。

現在の消費税の仕組みとは

まずは、現在の消費税の仕組みについて説明しておきます。用語として「課税事業者」=消費税を納めている会社、「免税事業者」=消費税を納めていない(免除されている)会社です。

滋賀県守山市にある「だいこく税理士事務所」の消費税紹介記事
 

滋賀県守山市にある「だいこく税理士事務所」の消費税紹介記事
今の法律では、仕入れ業者が「課税事業者」「免税事業者」のどちらであっても、図の「当社」の支払う消費税の金額は変わりません。仕入れ業者が「免税」「課税」のどちらであるかを知る術はなく、仕入れの際に支払った消費税は、「仕入れ税額控除」が適用されるためです。

ここで、2枚の図を比べてみると、税務署に支払われる税金の額が違うことにお気づきでしょうか。

どちらの場合も、顧客は100万円の消費税を支払っています。

しかし、仕入れ事業者が「課税事業者」の場合は、税務署に100万円が納税される計算式が成り立ちます。一方、「免税事業者」の場合は、税務署には40万円しか納税されていません。この不一致を「益税問題」と言い、長年問題になっていました。

この問題を解消するために、令和5年10月から始まるのが「インボイス制度」です。

 

インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは

インボイス制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」です。

新たに、何か特別な書類を作成しなければいけないイメージがあるかもしれませんが、インボイスの様式は特に定められていません。「請求書」「領収書」「納品書」などの名称に関係なく、必要な内容が記載されていれば「インボイス」にあてはまります。

制度導入後は、現在の請求書に新たに追加するイメージです。
現在
(区分記載請求書等保存方式)
令和5年10月1日〜
(適格請求書導入後)
発行者の氏名又は名称 発行者の氏名又は名称
取引年月日 取引年月日
取引内容 取引内容
受領者の氏名又は名称 受領者の氏名又は名称
軽減税率の対象である旨の表記 軽減税率の対象である旨の表記
適用税率ごとに区分した合計額 適用税率ごとに区分した合計額
インボイス制度の登録番号
適用税率
適用税率ごとの消費税額の合計
 

ただし、インボイス(適格請求書)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」だけです。

現在、課税事業者であるならば、登録申請書を税務署に提出した後、審査を経て登録となり、税務署からの通知が届きます。

現在、免税事業者の場合は、課税事業者になることを選択しなければ、「適格請求書発行事業者」になることはできません。ただし、課税事業者となれば、消費税の申告・納付も必要となりますので注意しましょう。

 

インボイス制度が始まるとどうなる?


インボイス制度が始まることで、現在の免税事業者(基準期間において課税売上高1,000万円以下/主に個人事業主や小規模事業者)が値引き・値下げを要求される可能性や、課税事業者にならざるを得ないことが問題視されています。

しかし、インボイス制度は、現在の免税事業者だけに影響を及ぼすものではありません。取引先が免税事業者のままでいることを選択した場合の例を図にまとめました。

滋賀県守山市にある「だいこく税理士事務所」のインボイス紹介記事
インボイス以外の請求書の場合、「仕入れ税額控除」が適用されません。つまり、同条件であれば適格請求書発行事業者と取引する場合に比べ、納める税金が増えてしまいます。取引先の変更に迫られるケースもあるでしょう。

一方、全ての取引先が「適格請求書発行事業者」になったとしても、新たに経理業務の負担(登録番号の確認)が増えることになります。

国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」を確認することで、登録番号から事業所の検索は可能です。しかし、登録番号は、1度確認すれば終わりではありません。登録の取りやめ、途中からの登録、虚偽の番号の記載などさまざまな可能性が考えられるためです。

登録番号の確認の際には、全ての請求書や領収書を1枚ずつ調べる必要があります。しかも、決算の際には、もう一度全てを確認しなければなりません。想像しただけで、かなり大変な作業だということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

問題の先送りは危険!今すぐインボイス制度と向き合おう


「インボイス制度が始まるのは、まだ先だから」と、問題を先送りしていませんか。今、ご利用の会計ソフトの種類によっては、インボイス制度に対応できない可能性もあります。経理業務が複雑化することで、本業に影響を与えてしまっては本末転倒です。

インボイス制度開始と同時に、速やかに作業が進められるよう、今すぐ準備を始めることをおすすめします。次の記事では、滋賀県守山市の「だいこく税理士事務所」のインボイス制度への対応について解説していきます。

【インボイス対応】領収書やレシートのスキャナ保存で経理業務をもっと簡単に!