前編では、インボイス制度の開始に伴う課題についてお伝えしました。後編では、経理業務の負担を減らし、インボイスにもスムーズに対応できる会計ソフトTKCのシステムのひとつ「証憑保存機能」について紹介します。
インボイスは怖くない!証憑保存機能導入によりできること

だいこく税理士事務所では、会計ソフトTKCの証憑保存機能の活用をおすすめしています。まずは、証憑保存機能に関するよくある質問にお答えしながら、導入メリットについてお伝えします。
証憑保存機能を使うと何ができるの?
請求書・領収書、レシートをスキャンするだけで、日付や相手先、金額などの情報をAIが自動で読み取ってくれます。今後は、インボイス制度の登録番号も自動で読み取ってくれるだけでなく、公表されている数字と合っているかどうかもチェックしてくれます。
また登録時だけでなく、決算時に自動的にもう一度全てチェックが行われるため、取引先が新たにインボイス制度に登録した場合や取りやめた場合も、スムーズな対応が可能です。
読み取った内容は、仕訳入力時に初期表示されるため、内容確認、簡単な補正のみで仕訳ができます。
取り込んだデータはどこに保存されるの?
TKCのデータセンター(TISC)にアップロードされ、タイムスタンプが付与されます。TISCは、情報セキュリティに関する国際規格「ISO/IEC 27001」の認証を取得しているため、高いセキュリティを誇る点もポイントです。また、一定の条件を満たせば、紙媒体での保存が不要となります。
人工知能(AI)に完全おまかせできるの?
現段階では、AIの読み取り精度は90%超と言われています。例えば、手書きの領収書の場合、「¥」マークを「1」と読み取るケースもありました。多少、内容の修正が必要なケースもありますが、人間が一から入力する場合に比べ、作業の手間はかなり減るといえます。
【証憑保存機能導入前後の作業負担の比較】
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証憑保存機能導入前 |
証憑保存機能導入後 |
紙の請求書・領収書に対して必要な作業 |
1枚ずつ糊付けし整理
ファイリング |
スキャンのみ |
仕訳 |
手動 |
自動
(確認作業や補正は必要) |
保存場所 |
必要 |
不要(クラウドに保存) |
※銀行口座、クレジットのデータ受信は、TKCのFinTechサービスのため、証憑保存機能の導入有無関係なくTKCシステムで利用可能です。銀行信販データ受信機能により、取引データを受信し、学習機能を利用して簡単に計上することができます。
だいこく税理士事務所では、これからのビジネスにおいて、証憑保存機能の活用は大変有意義と考えています。利用料は、システム料に含みます。そのため、別途追加料金をいただくことはありません。
リンク:滋賀県守山市のだいこく税理士事務所:料金表
事務作業の負担軽減は、将来の時間をつくるための作業

「現時点では、事務作業の量がそれほど多くない」「調べたいときは、ファイルを探せばすぐに見つかる」といった考えをお持ちの経営者の方もいらっしゃるかもしれません。
そうお考えの方に見ていただきたいデータがあります。
2017年、コクヨ株式会社が行った調査によりますと、1人当たりの書類を探す時間は、1日平均約20分でした。1年に換算すると約80時間です。このデータは、書類を探す時間に特化していますが、スキャン&AIによる読み取りを使用することで、削減できる手入力・確認の時間は、さらに多いものとなるでしょう。
私がお伝えしたいのは、手入力の作業を減らし効率化を進めることが、将来の時間、会社のことや事業のことを考える時間づくりにつながるということです。
下記は、証憑保存機能導入による効率化の具体例です。
・前回単価の検索、確認
・契約書の保存(必要に応じてPDFでダウンロード可能)
・書類保存スペースの削減
・ファイリング作業不要
・検索機能
書類の整理につきましては、会社ごとに必要なカテゴリを作成することができます。またカテゴリは、必要に応じて追加することが可能です。
そのため使えば使うほど、自社にあったものを作ることができます。特定のフォルダ内のみを仕訳する設定にできるため、雑務が増えることはありません。
仕訳に証憑が貼付されていること、証憑と仕訳が紐づいているため、パソコンの画面で確認できることからも手入力で作成する帳簿に比べ、ハイレベルな仕上がりになります。信頼性の高い帳簿は、経営分析にも役立ちます。
守山市のだいこく税理士事務所では、創業支援に加え、経営助言、経営コンサルにも力を入れております。適切なデータを蓄積し、信頼性の高い帳簿を作成することは、経営分析において強い味方となります。
リンク:だいこく税理士事務所:お問い合わせフォーム
会計ソフトTKCの証憑保存機能の使い方
最後に、証憑保存機能の使い方について簡単に解説しておきます。実際のシステム導入後には、改めて説明の時間を設けています。本記事では、あくまでレシートスキャンから保存までの一連の流れをご紹介しているとお考えください。
1.書類の種類を選択

「登録(スキャン)」を選択後、表示されるのは「書類の種類選択」画面です。今回スキャンするのは、レシートですので「レシート」を選択します。
スキャナにレシートをセットし、書類をスキャンします。
2.書類の作成方法
「画像1枚ごとに書類を作成」または「画像をまとめて1つの書類を作成」のいずれかを選ぶことができます。
今回は、レシートを3枚取り込むため「画像1枚ごとに書類を作成」を選びました。
数秒で3枚のレシートの読み取りが完了しました。
3.取引内容を確認、必要に応じて修正
AI読取により、画面上には取り込んだレシートに記載されている取引年月日や電話番号、取引先名、取引金額、消費税等が自動的に表示されています。
数字や文字に誤りがないか、確認を行います。問題なければ「保存」をクリックします。
次のレシートを確認します。今回は、軽8%対象金額(税込み)1,586円の部分が間違っていました。
右上「取引内容入力」の部分をクリックし、修正対応を行います。
「取引内容入力」クリック後、数字や文字を自由に編集できる画面に変わりました。
誤り部分を直接編集し、正しい金額に修正します。
軽8%対象金額(税込み)1,712円に修正できました。「保存」をクリックするとTKCタイムスタンプが付与され、TKCデータセンターに保存されます。
ちなみに証憑番号は「保存」のタイミングで、自動付与されます。
4.便利な検索機能
証憑保存機能に保存した資料は、さまざまな検索方法が可能です。上記は、登録年月日で絞り込んだ場合の画面です。
「郵便局」のように取引先名を入力し、検索することもできます。紙媒体で保存した場合のように、大量のファイルの中から探す時間や手間もかかりません。
証憑保存機能を導入し、将来のための“考える”時間づくりを始めませんか
本記事では、証憑保存機能導入による変化や実際のスキャンから保存までの流れについて説明しました。ただ、証憑保存機能導入のメリットとして挙げられることの多いインボイス対応や経理事務負担の軽減は、あくまで表面的な一部分にすぎません。
導入による生産性向上、そして将来のための時間づくりについて、考えていただければ幸いです。
だいこく税理士事務所では「信頼性の高い帳簿を作成し、経営分析に役立てたい」「事務作業の効率化を進め、将来について考える時間を作りたい」とお考えの方からの問い合わせを歓迎いたします。